劇場版Zガンダム第一部「星を継ぐ者」視聴。
テレビシリーズはぶっ続けマラソン鑑賞も含めて都合3回くらい通して観たが、初見の時から一貫して「こりゃだめだ」という感想しか持てなかった。所々にさすが富野だ、と思える輝きはあったものの全体を覆うギスギスした空気、場当たり的なキャラクターの行動、何の伏線もなくオカルト機能を搭載した主役メカのラストバトルと、およそコントロールされていたとは言えない物語は、事もあろうか1年間では収集が付かず、更なる駄作へと繋がる階段を下っていった。物語の印象が強いのか、それともそういうオファーに応えたのかは分からないが、三枝成彰のスコアも聞くたびに不快感を増幅させた。今巷に溢れている不健康な肌触りのアニメの先駆けだったとも言える。
にも関わらず、この20年前の作品が新作カットと旧作カットを混ぜこぜにして公開されると聞いた時に期待させられたのは、それが「現在の」富野氏の手で編集されるからだ。「ブレンパワード」「ターンAガンダム」「キングゲイナー」と、長い療養期間から復帰してからの氏の仕事には以前みられた神経質な所や、中盤で物語が停滞する癖が無くなった。物語は尋常でない密度で常に前進し、時に視聴者を置き去りにしながらも独特の幸福感を伴って走る。短い時間の中で物語を遠くまでドライブさせるカッティング技術は笑わせたり泣かせたりといったエモーショナルな部分をそぎ落とし、ただひたすらに視聴者を圧倒する事を目指す。
そのドライブ感と幸福感で再構成される「Zガンダム」ならば、期待してもいいと踏んだ。「イデオン」から25年というのも、伝説が繰り返されるにはちょうどいい頃合いだと思えた。
(続く)