※この記事には、ある事情(参照:「間違った英語の話をしよう」)のもと、高い確率で間違った知識が含まれています。
「There is ~ 構文」のきしょく悪さは、先の「旧情報と新情報 『Forest 7th Edition』より」で解決したのだが、この「既知の物は左に、新情報は右に」という原則は、結構他の文構造も支配しているのかもなぁと思わされる。
- My mother gave me some money. (SVOO)は
- My mother gave some money to me.(SVO+M)とも言える。
会話の重点がどこにあるかという違いはあるようだが、一応これはコンパチである。ところが直接目的語が「代名詞」になるとこれはSVO+Mでしか書けなくなる。
- ×My mother gave me it.(SVOO)
- ○My mother gave it to me.(SVO+M)
「it」は代名詞で、代名詞が使われているという事はその対象はもう話題に上った後だという事だ。旧情報は左に行くのが原則なので、「it」が文末にくる「My mother gave me it.」は少し座りが悪い。勿論「I know it.」等、SVOの最小構成で避けようもない場合は文末に来るのであるが、これが「SVC」だと、そのきしょく悪さは途端に跳ね上がる。
- It is my bag.
- とは言うが
- My bag is it.
- という言い方は、多分通常のシチュエーションでは無い。
いつだって「オチ」は最後に持ってくるのだ。”英語は最初に「大事なこと(主語+動詞)」を言って、後から補足情報を付け足していきます”とは、英語の語順に関してよくよく言われることであり、自分もそう理解していたのだけど、それって本当かな、という気もしてくる。
I saw the man who was crying on the street yesterday.
みたいな英文があったとして、文末の「yesterday」は、間違いなくどうでもいい事だと思うけど、他の部分に関して主語や動詞が「大事なこと」なのかな、というとどうなんだと。この文章の一番のクライマックスは「crying on the street」のトコなんじゃないのか。既知の事柄や、誰がどうした、みたいな、客の興味を引けない平坦な部分は最初に済ませて、美味しいところを後に持ってきてはい、ドッカン、みたいなエンターテイメント性を感じるのだな。お前たちは割と関西人のスタンスで喋っているんじゃないのか?と。
関係代名詞だのthat節だの、どうしてこんな入り組んだ構造で並べるんだと日々文句を言ってるのだけど、もしかしたら彼らは彼らなりに場を盛り上げようと気を使っているのかも知れない。日本語だって、
- 「彼女を殺したのは、わずか8歳になったばかりの息子だったのです」と
- 「わずか8歳になったばかりの息子が彼女を殺しました」
では場の座りが全然違ってしまうものね?なので、うん、許そう。that節がどんなに後の方に回されても、先行詞と関係詞節の間に動詞が割って入って来てもしょうがない。そっちの方が盛り上がるのであれば許すしかないじゃないか。