今日も今日とてオンライン対戦。いや、javascriptのおさらいをしたり、仕事の下準備をしたりと、色々な作業も入って来ているのだが、手が空けばいそいそとプレイヤーマッチやランクマッチに行って勝ったり負けたりの毎日である。20歳の頃以降めっきり使っていなかった英語も、最近は少し勘を取り戻して来たようで、当時同様のイカサマ英語で似非コミュニケーションをとっているのだが、今日はオンライン部屋で体験した嫌な出来事をちょっと書いてみようかな、と思ったのである。先日の「果てしない物語(アーマードコア・フォーアンサー)」にも書いたが、米国人の大量参入でオンライン対戦が一気に殺伐としたフェイズに突入した事は否めない。
それまで国内においては自重パーツであった「追加ブースター」を米国人がなんの衒いも無く使い始めた為か、日本人プレイヤーでも堂々と追加ブースターを装備した機体で参戦している者が増えたように思う。軽4脚の機体に追加ブースターを積んで地上を驚くようなスピードで走り回り、ミサイルを撃たれれば全力で振り切り射撃武器はラグで当たらないという鉄壁に近い防御である。それだけならまぁ微笑ましくもあるのだが、心底げんなりするのは少し離れた所まで逃げた後、機体を左右にゆすって「さぁ当てられる物なら当ててごらん」と挑発してくるような奴である。お前、そんな逃げ方ばっか覚えてもし次のレギュレーションで追加ブースターが使えないパーツに成り下がったらどうやってミサイル避けるつもりなんだ、と。
またこれは米国人に限らず日本人にもよく見受けられるのだが、ランクマッチでの「kick out」(強制退室)の多さにも辟易する。クイックマッチで適当な相手と対戦を組まれると米国人の場合は相手のゲーマータグ(ペンネームの様な物であり、個人を識別する為についている)のプロフィールを見て、もし日本人だと分かったら結構な確率でこちらを「kick out」して、対戦を拒む。初めての対戦であるにも拘らず、日本人相手だと負ける確率が高いので即「kick」なのだ。日本人の中にも何度か対戦して負ける可能性があると判断すると名前を見て即「kick」するようになる輩がいる。しかもそういう連中は大概こちらよりランクが上で、尚且つ「卑怯目な機体」を使っている場合が多い。天地神明、神に誓って言うがこちらの機体は真っ当過ぎるほど真っ当なアセンブリである。アサルトアーマーすら積んでいないし、ブースターはどれも低出力でラグなど起きよう筈もない。その証拠にWライフル機に面白い様に負け続けているのだ。にも関わらず何度か負けたりすると、こちらとの対戦を拒否するのである。声を大にして言うがkickされるべきなのはお前だろう?
格上のプレイヤーが格下のプレイヤーに負けると失うポイントの量が多いので、格下なのに勝てない相手というのは非常に嫌な物である。しかしそこで逃げてまで維持したポイントなんかどうせいつか潰えるに決まっているのだが、実が伴っていなくても上位クラスというのは維持したいステータスなのだろう。こちとら絶対勝てない相手と連戦に次ぐ連戦になっても、文句も言わずに対戦してるというのに……。
一方、プレイヤーマッチではルームコメントでげんなりさせられる事も多い。曰く「japs will be kick out」だの「no japs」「no korean」と、最悪な部屋名がロビーに度々現れる。「no korean」なんて書かなくても韓国人プレイヤーなんて殆どいないというのに、もうただただ他人種に対する嫉みを表明する事が目的なんだとしか思えない有様である。先刻ランクマッチで当たった米国人は負けた瞬間接続を切って(決着が着いた直後だったのでノーゲームにはならずに済んだが、改善前の仕様だったら危なかった)その後すぐに、下品で書くのも躊躇われるような罵詈雑言を綴ったメッセージを送って寄越して来たのですかさずこちらも思いつく限りの下品で粗野な罵倒文を送り返そうかと思ったが、その中に”lagger”という単語があったのがちょっと引っ掛かった。このlaggerという単語は、単に相手を罵倒する時に使う他に、”ラグのひどい人”という意味もあるそうなのである。追加ブースター積んだ奴が何を言っているんだろうと思ったが、どんなに遅い機体でも回線の伝送速度に問題があれば、ラグは起こりうる。念の為「どういう意味だ?俺がラグってたか?」と英語で書いたメッセージを後で送ったが、返事が無い所を見るとその前の文章同様、ただの汚い言葉として使ったのだろう。
その後もブレーダー相手に超長距離からレールガンで相手をしたら(向こうはブレード戦に特化した機体でレーダーも積んでないらしく、こちらが何処に居るのか分からないまま時間切れ終了となった)対戦後ご丁寧にローマ字で「KUTABARE AMA」(くたばれ、アマ)と書かれたメッセージが届いた。大変良く日本語を勉強していらっしゃる所は評価出来るが、こちらも丁寧に「もし君がブレードを使ってなかったら俺を見つけられたかも知れない。俺は自分の距離で戦っていただけだ。お大事に」と英語で書いて返信しておいた。なんていうか、もうこんなやつばっかりですよ!
堂々とラグプレイをしておきながら負けたらこのキレっぷり。凄いなー、やっぱりアメリカ人は神経の太さが違うなー、と感心する事しきりである。勿論念の為に言っておくがアメリカ人全部がこんな連中なのではない。ボイスチャットで”lagger”の件を相談したアメリカ人のフレンドは「申し訳ない、そいつは愚かなんだ」と謝ってくれたし、真っ当な機体で戦い、プロフィールの自己紹介欄に「ラグを使って戦うような真似はしたくない」と書いているアメリカ人にも会った。どこの国にも尊敬出来る人間とそうでない人間が必ずいるという事は骨身に染みているのだが、こう毎日毎日人間の悪意に晒されると正直疲れてくる。
じゃあそんなゲームやらなればいいのに、と思われるかもしれないが、嫌な事ばかりではない所が手を引けない一因である。初対面の相手の相談に快く乗ってくれたり、言葉は交わさなくても苦手な武器の克服に延々付き合ってくれたり、そういう”人の情け”に触れられる時間は何にも替え難く、貴重な物である。そういう人達がいるという確かな実感があるので、今日もkickされたり、品性の無いメッセージを送りつけられたりしながらも、またオンラインに出向くのである。
最後に補足しておくと、この文書のタイトルは昔見た「愛は静けさの中に」という映画の原題である。ウィリアム=ハート主演の、健常者と聾唖者が互いの違いを乗り越えて愛を育んでいく物語であるが、”Children of a Lesser God”というフレーズは、要するに”(全能ではない)少し欠陥のある神様によって生み出された子供(人間)達”という意味である。全知全能の神によって生み出された健常者に対して、聾唖者(あるいは障害者全般を指すのか?)は”そうではない神様”によって創られたのだろう、という観点で作られたんだと考えると随分な言い回しである。現在このフレーズが差別的な表現として捉えられているのかどうかは、ちょっと調べた程度では分からなかったが、ここまで読んで頂いた方には、この文書における”Children of a Lesser God”が聾唖者や障害者を指すものでは無いと言うことは、説明するまでもないと思う。
どの道、人間誰しもどこかしら足りないのだ。