これまで使ってきたSONYのHDDレコーダー、RDR-HX8(スゴ録初期型)の光学ドライブが完全にディスクを読まなくなってしまったので、新しく東芝のRD-E160を購入。当初はスゴ録の修理も考えたのだがドライブ換装する為にはメーカーに送らなければいけないという事で、1週間以上家に録画装置が無くなるのも切ないと思い、結局新しいレコーダーを買う事になった。
地上デジタル放送対応とかハイビジョンとかそういうスペックは全然必要なかったのだが、アナログチューナーオンリーの機種は店頭から気持ちいい程姿を消していて(買うチャンスもあるにはあったのだが熟考しているウチに在庫がなくなったりしていた……)地上デジタル放送対応モデルを買う以外の選択肢が残らなかったのである。どうせ使わない地デジチューナーや繋ぐあての無いHDMI端子に高い金を払うのは癪だったのだが、「こういう事で悩む時間を時給で換算したら余裕で買えるわ!」と半ば切れて、予算ギリギリに収まる売価のこの機種を即買いして来たのだ。
新しいHDDレコーダーを買うにあたって考えたのは
- 使い慣れたスゴ録シリーズにするか
- 光学ドライブがへたってもLAN経由でPCに吸い出せる東芝シリーズにするか
という事であった。なにせこれまで使っていたスゴ録はディスクエラーが多く(参照:「SONYの光と影」)末期にはDVD-RW→DVD-R→市販のDVDの順に読み込みに失敗して行った。紫煙が漂うこの部屋はAV機器には厳しい環境だがスゴ録で焼いたDVD-RがPS2で読めないという体たらくにSONYの技術力に翳りを感じていたのも事実である。
かたや東芝のRDシリーズは
- 機能が多すぎて使いこなすのが大変
- 不具合発生率が高いという噂が絶えない
- 画質が良くない
という話が漏れ聞こえて来る事が不安の種だったのだが、東芝ユーザーのちょっとフェティッシュな愛好ぶりが微笑ましくもあり、なおかつフリーソフトを使えばHDDレコーダーから直接PCに吸い出せるという点が決定的なアドバンテージとなった。
で、昨日近くのコジマで買ってきた後力尽き、今日起きてからAV機器の配線を丸ごとやり直してRD-E160をセッティングしたのだが、それから約半日。なるほど、これは難しい!。多機能がどうこう以前にリモコンやユーザーインターフェイスの独自ルールが多すぎて、鬼の様に厚い説明書を読み込まないと目的の操作に辿り着けない。RDR-HX8のリモコンにはユニバーサルな単語しか書いて無いのだが、RD-E160のリモコンには
- 編集ナビ
- 番組ナビ
- 見るナビ
- 青・赤・緑・黄
- おまかせプレイ
等、聞いた事のない単語が書かれたボタンが並んでいるのである。上の3つはともかく「青・赤・緑・黄」って何をするボタンなのか想像もつかない。多機能であるが故に煩雑なインターフェイスになるのは仕方ないのかも知れないが、もう少し上手い事出来るんじゃなかろうか。判れば上手い事デザインされていると思えるのだがマニアックな作りと言わざるを得ない。
しかししかし、機能の方は流石である。イーサネット越しのアクセス、ダビング。快適なスクロール、表示チャンネル数の変更など、痒い所の皮膚の下まで手が届きそうな勢いだ。この機種はスカパー連動機能を有していないがそれでもネットから取得する番組表データでスカパーチャンネルの内容を地上波と並列に表示出来るのは有り難い。これまでは曜日と時間を手動で入力していたのである。スカパーチューナーとHDDレコーダー側の両方で予約を入れる必要があるが、番組表から選択するだけなら楽勝だ。
そしてフリーソフトのVirtualRDをPCにインストールすればいちいちDVD-RWに焼く事も無く、HDDレコーダーで録画した番組を直接PCにコピー出来ると言う機能が凄まじく便利だ。もっともこれは東芝が提供したものではなく、このVirtualRDというフリーソフトを提供してくれている竹内 正生氏が提供してくれた機能なのだが、RDがパソコンとの親和性を搭載しているからこそ可能になった方法である。これまで延べ何百回DVD-RWを焼いたか判らないが、「焼く」「パソコンに取り込む」「初期化する」の内、「焼く」と「初期化する」が丸ごと無くなるのである。また、この何百回の吸出し作業分がRDR-HX8の光学ドライブを疲弊させた原因の何割かである事は確実なので、その分光学ドライブの寿命を延ばす事が出来るかも知れない。
半日触った感じではまだこのレコーダーの底どころか全体像すら見えないのだが、間違いなく言えるのは「これはお父さんお母さんは買ってはいけない」という事である。例え有償のセットアップサービスを頼んで初期設定をやって貰ったとしても、その後リモコンの前で途方に暮れる事請け合いである。しかしオタク寄りの人間でテレビ番組を編集してDVDに焼くことに生き甲斐を感じているのであれば、このシリーズは本当に心強い。160GBのHDD容量は今では最低ラインの容量だが、イーサネットを使えばパソコンのHDDがそのまま増設HDDと同じ役割を果たせるのである。いちいち焼かずに退避出来るので少し高めのビットレートで録画しても気にならない。160GBあればアナログ地上波の番組をチェックするには十分だと思われる(見るアニメの敷居の高さによるかも知れないが……)。唯一困るのはこれを使いこなす為にそれ相応の時間を犠牲にしなければいけない事か。だがそれも、いずれ元が取れるだろう。