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復活のイデオン

作成年月日
2006年09月10日 04:45

仕事が一段落というか、このまま問題無ければマスターアップという訳なので開放感に浸りつつ久しぶりにアニメ話をしようと思う。

はい!先日スカパーのANIMAXで「伝説巨神イデオン」の放送が始まりました。皆さんちゃんと観ましたか?観てない人は月曜の午後にもう一度放送されるのでそこで観ましょう。月曜〜金曜の深夜24時と29時30分、さらに翌日の13時30分(つまり午前0時と午前5時30分と午後1時30分)の計3回同じ話数が放映されるので、少々の録り逃しも怖くありません。

イデオンについては「最短ショートカット」でちらっと書いたが、まぁとにかく全てここから始まったという位に俺の人生を捻じ曲げた作品である。途中で放映打ち切りという憂き目に会ったにも関わらずファンの熱い声に応えて編集部分(接触篇)と放映されなかった部分(発動篇)の同時上映と言う、2ちゃんねる風に言えば「それなんてエヴァンゲリオン?」という感じで作られた劇場版は、その容赦の無い描写と湖川友謙の鬼の様な作画監督ぶりで、まさに「伝説」として今に語り継がれているが、このテレビ版はなかなか再放送がかからなかった為、小学生の頃観ていた本放送以来、実に26年ぶりの視聴という事になる。

劇場版の方は当時親にねだってセルビデオを購入したので最近まで折に触れて繰り返し観てきたが、テレビ版の方は極稀にレンタル屋にビデオが置いてあっても巻数に抜けがあったりして、これまで一切観る事は無かったのだ。

そのイデオンがANIMAXで始まる。このニュースを知ってからの1ヶ月半位がどれ程楽しみで、かつ不安だったか分かるだろうか。なにせ観ていたのは小学生の頃なのだ。そりゃあ面白かった。夢中になった。でも今観たら?思い出は美しいままとっておいた方が良かったりしないか?

そんな事を考えたりもしたのだが、いやもう、全くの杞憂だった。「面白いよ、イデオン!」発動篇を観せられた事があるだけの女房もそう言うのだから俺の贔屓判定では無いのだろう。

BGMの合わせ方が所々ムチャクチャ強引だったり、次回予告に良く分からない掛け声が入ったりと決して製作者側が作品を完全にコントロールし切れている訳では無いのだが、無駄の無い構成とセリフの端々に散りばめられた高い演出センスは今の「良く出来た方の」アニメと較べても全然負けて無い。状況を途中から始めて一気に観客を引きずりこむ富野監督お得意の手管の中でも、このイデオンの導入はベストシークエンスと言えるのではないか。

不穏な情報を確かめる為に発掘現場に向かうベス。ベスの行動を不審に思い後を追うコスモ。コスモの運転するエアカーに潜り込んでいたデク。ベスとコスモの挙動を怪しく思ってバイクで後を追うカーシャ。異星人がいると聞き地上に降りてきたカララ。発掘現場で働くシェリル。

物語の主要登場人物全員をそれぞれの(不自然でない)理由で徐々に発掘現場に集めていき、そこでイデオンの復活を「一斉に」目撃させる手腕には感動を通り越して呆れた。この場にいたのがコスモだけだったり、あるいはカララが居なかったりしたら物語の肌触りと進む先は大きく異なっていただろう。これだけの人数を各人の人となりを描きながら一箇所に集めて有無を言わさず物語という名の寸胴鍋に叩き込む鮮やかさは、物書きの教科書に載せておくべきなんじゃないか。

示し合わせてんじゃねぇのかと思うような話だが、期を同じくして「超合金魂」シリーズでイデオンの製作が始まっているというニュースも目にしてしまい、近頃頭の中は第二次イデオンブームである。ここまで来たらつい最近廉価版が販売されたモノラル収録の劇場版DVDも生きている声優が多い内に新録、ステレオ、5.1チャンネルでリマスタリングして出してくれないかなぁ。