なぜ女の子は「オシャレ魔女 ラブ&ベリー」の登場を待たねばならなかったのか。この事を最近ずっと考えている。
「オシャレ魔女 ラブ&ベリー」とは今巷の小学生女子を虜にしているアーケードゲームである。お金を入れるとカードが一枚出てくるという、「甲虫王者ムシキング」の女の子版と言えば分かりやすいだろうか。
ゲームは「着せ替え」と「ダンス」パートに分かれる。最初に筐体から出てくるカードは洋服や髪型、靴などの着せ替えパーツである。これらを使って画面の中のオシャレ魔女である「ラブ」か「ベリー」をコーディネイトしてダンスに出かけるのだが、ダンスのステージは「ストリート系」や「アイドル系」等、全6種類が用意され、それぞれ場に合うコーディネイトが要求される。
手持ちのカードの種類が少ないとちぐはぐな組み合わせしか出来ず、そうなるとダンスステージをクリアする事が難しくなるのだ。「ラッキーカラー」なるものまでランダムで決定される為万難を排した布陣で臨もうと思ったらかなりの種類のカードが必要になるだろう。そして実際女の子達はビックリするくらいカードを持っているのである。
うちの娘も例外ではなく、ろくに歩けない頃からこのゲームを見かけるといつまでもいつまでもその場から離れようとしなかった。ゲームのルールなど理解出来ないのに、親切なおねえちゃんからダブって要らないカードをごっそり貰って大喜びするくらいである。
女の子が筐体の前に列を成して、プレイし終わるとまた列の後ろに並ぶという光景はちょっと新鮮である。プリクラやクレーンゲーム等の特殊なものを除けば、ゲームセンターは男の遊技場であり続けてきたからだ。
それは別に女の子を排斥しようとしたからではない。ただ単に女の子が見向きもしなかっただけなのだ。ゲーム制作会社の本音を言えば女の子にも来て貰っていっぱいお金を落として欲しかった筈である。
戦力を揃えて戦いを有利に進める快感というのは男の子に多く見受けられるもので、女の子はその辺りでは食いつかないのだろうと思っていた。ロールプレイングゲームなどを家でプレイしていると「どうしてこの人は冒険に出ている時間よりも工房で武器を作っている時間の方が長いのかしら」と、女房が不思議がったものである。
この類の収集熱というのは男の子特有の物だと考えていたわけだが(断るまでも無いがこの項は「傾向」の話をしている)よく考えてみれば「沢山の武器の中から戦局に応じて装備を揃える楽しさ」と言う行動は、明日着ていく服を鏡の前でとっかえひっかえしている女の子の行動と同じ様に思える。同じどころか、そういう訓練は彼女たちの方が遙かに熱心に、多くの回数を行っていると想像出来る。
にも関わらず、この「オシャレ魔女 ラブ&ベリー」が出るまでゲームが女の子を虜にする光景は、ついぞ見掛けなかった。今まで何が足りなかったのか、何に気付かなかったのか。そして、「ラブ&ベリー」には何があるのか。
その答えの見当がつくまで書くのを控えていたのだが、今も納得の行く答えは見出せないでいる。本当に、何が必要だったんだろう。