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ロボゲーの遅咲き仕様は正しいのか

作成年月日
2014年05月12日 16:40

こないだ”イデオンを動かす為だけに”『バトルロボット魂』というゲームを買いました。何せイデオンを自機でプレイ出来るロボットアクションゲームはこれだけで、しかも『ゼーガペイン』や『蒼穹のファフナー』等、あまりメジャーどころではないけれど好きなアニメの機体が出ると言う、言ってみれば超俺得仕様のゲームな訳です。

で、早速プレイしてみたのですが、ロボがポンコツ過ぎて全然楽しくありません。遅い、弱い、すぐ止まる。ミッションをクリアするとポイントが貰えるので、それを使って機体の性能をちょっとずつ上げて行け、というのですが、この”チューン”はある程度までは楽に上がるけど、そこから先は3倍のポイントが必要になる為、死ぬか生きるかのミッションを終えて得られる雀の涙ほどのポイントではなかなか機体の性能を上げられません。(このポイントについてはミッションオールSクリアをした後になってもっと簡単に貯める方法が発覚してしまうのですが、それはひとまず置いといて)

チューン上限はミッションの進行度と共にアンロックされて行き、最後にグラフ右端まで無制限、全パラメータオール120まで上がります。開始時のパラメータは10とか15とかその辺です。そこら辺まで強化すればロボはキビキビ動き、先行入力と硬化キャンセルを駆使したアクションはいちいちカッコ良くて見惚れてしまいます。そうそう、俺がやりたかったのはポンコツロボットを騙し騙し動かすゲームではなく、最新鋭のロボをカッコよく動かして戦うゲームだった、と思い出したところで、はたと気付きます。「じゃあ今までの作業は何だったんだ」と。

それはゲームを長く遊ばせたり、機体が成長して行く歓びを感じさせる為に、ゲーム業界では半ば”当たり前のこと”として採用されている「遅咲き仕様」ですが、しかしそれは本当に当たり前でいいのかな、と思いました。変数度の高いプレイが保証されているゲームというのは総じて面白いものだけど、ゲームが内包する体験の”一番低いところ”を、ゲームを買ってきて一番ワクワクしている時に宛がう仕様は正しいマッチングなのかな、と疑問に思った訳です。

所謂剣と魔法のロールプレインゲームは、最初素人だった勇者が戦いの中で強くなっていくというストーリーなので遅咲き仕様が相応しいのは分かります。PS2の『GLADIATOR -ROAD TO FREEDOM-』はアクションゲームでしたが、奴隷剣闘士の主人公が日々の鍛練を重ねて徐々にローマの栄光を手にしていく過程はまさしくこの仕様の恩恵なしには表現出来なかったでしょう。一方、軍人や工作員である主人公キャラが敵地に潜入して戦うようなゲームでは、最初がポンコツキャラだと”お前は今まで何の訓練をしてきたの”と言いたくなってしまいます。また、同じアクションゲームの括りでありながら、「格ゲー」と呼ばれるジャンルの作品ではだいたい最初から全部の技を使えます。

ロースペックから始まり、徐々にハイスペックになっていく遅咲き仕様は、確かにある種のカタルシスを提供してくれるのですが、それは決して”どんなゲームにも相応しい”物では無い筈で、ロボゲーの大半はこういう仕組みになってるけど、それって本当に最適解?と考えずにはおれません。

最初から最大限の性能を駆使し、あぁ、俺ってかっこいいなぁと思えて、それでいてプレイの変数度が保証されるようなロボゲーがいっぱいあればいいのにな、と願いつつ、今日も『バトルユニバース』でポンコツ機体をじわじわとチューンアップしているのでした。