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10月アニメ考査(第一段)

作成年月日
2008年10月17日 02:00

久しぶりのアニメ考査シリーズ。なかなか「これは!」と思える作品が無かったり、アーマードコアで忙しかったりしたせいで随分視聴するモチベーションが下がっていたのだが、今期はそれでも一応キーボードに向かう気にさせる物があったので、例によって独断と偏見だけで始めてみよう。

観る気が起きない

即切り

様子見

視聴継続決定

有望株


『屍姫 赫』
各所で言われているが、主人公とヒロインの声優の演技が酷すぎる。初代マクロスもこんなもんだったと言えばこんなもんだったが、ストーリーがまた微妙な為一層腹が立つ。キャスティングの責任者は勿論だが、音響監督も(例えどんなに頑張らせたにせよ)こんな放送事故クラスの演技にOKを出した責任は取らなくてはならない。
『黒執事』
オープニングでもう我慢できませんでした。なんだろうこの恥ずかしさは……。
『鉄のラインバレル』
1話は頑張って観たのだが、2話の途中で挫折。主人公の『中ニ病』というか『邪気眼』っぷりは勿論計算の上で、やがてこの反動か転換を描く為に必要な設定だという事は分かるのだが、そこの所「だけ」描いておけばいいや、という手抜きっぷりに辟易。そんな奴いねぇって。
『まかでみ・WAっしょい!』
酷すぎる絵コンテに30秒持たず。いや、絵コンテのせいだけじゃないか。キャラデザも世界設定も何もかもが現実から遠すぎて、正直何が起きてるのか分からなかった。この作品に限った事じゃないんだけど、イラストでキャッチーな絵をそのままアニメでやってもキャッチーなままか、っていうとちょっとそれは違うんじゃないか?ちゃんとアニメで動かした時に魅力的に見える様に、アニメの文法に落とし込んでデザインしようよ。
『カオスヘッド』
きつい〜。「美点の無さ=リアリティ」っていうキャラ作りがまだ幅を利かせてるのか、正直この主人公にどんな不思議な事件が起ころうがどうでもいいや、という感想しか持てない。
『とある魔術の禁書目録』
「超能力者が通うマンモス学園都市」で「あらゆる超能力を無効にする右手を持つ主人公」が「膨大な数の魔道書をその身に蓄えた女の子」と出会って、と、よくもまぁこんなにアレな設定を詰め込みましたね、とげんなりしかけたが、その設定を上手い具合に組み合わせて見応えのあるジレンマを構成しているのには感心した。一見便利な主人公の能力が、逆にヒロインの回復魔法を無効化してしまうあたりは幾らでもドラマを作れそうな良い設定である。
『喰霊 ー零ー』
幽霊?に対して「科学的」に立ち向かう描写がオカルト三昧の今期タイトル群の中ではキラリと光ったが、衝撃の1話ラストに全て持って行かれた。飛び道具で終わるか、それとも納得の物語に繋がるのか予想もつかないが、ここで観るのをやめるのは難しい。それくらいに掴みはオッケーの第1話だった。
『黒塚ーKUROZUKAー』
お話的にもビジュアル的にも、正直どうでもいいのだが、監督が『ギャラクシーエンジェル』シリーズで名を馳せた荒木哲郎なので、一応観てみようかな、と思う。
『機動戦士ガンダム00 セカンドシーズン』
第一シーズンをスカパーでまとめて観たが、「案外楽しめた」より上に行く為にはこのセカンドシーズンで相当頑張らなければならないだろう。まぁ売れればそれでいいんだろうけど、美味しい脇役陣やトラウマ級の対人関係を、ただのフック程度で終わらせるのは勿体無い気はする。
『CLANNAD AFTER STORY』
一生分のKey分を摂取してしまったので前シーズンは途中で脱落したが、今回本筋に入る前に脇役達の番外編が続くようなので、その間は楽しく観られそうである。本筋に入ったら観るのをやめるかも知れない。
『ケメコデラックス!』
女性声優のキャリアを台無しにさせる事においては天下一品の水島努が、佐藤利奈、千葉紗子に続いて、今回は斎藤千和にロックオン。今まで聞いた事も無い様な斎藤千和の怪演が楽しい。『撲殺天使ドクロちゃん』や『大魔法峠』よりは幾分マイルドなコメディなので間口は広くなったのかもしれないが、ちょっと物足りないと感じる輩も多いかも知れない。
『かんなぎ』
山本寛監督の趣味が全開のオープニングがやばい程目を惹くが、本編もかなり力を入れて作っており気持ちよく演出の意図に身を任せられる。作画に対する要求もきつそうだが、正しい絵コンテで作画をしっかりやればちゃんとリターンは見込めるという手本の様な作品。適当に原作を消化するだけに留めず、きっちり最後まで描いて欲しいものである。
『のだめカンタービレ 巴里編』
監督が替わっても鉄板なのは相変わらず。こちらは絶対原作から外れたりしないだろうが、ここまで見事に漫画をアニメ化していれば、まぁ、それはそれでいいかと思えてくる。

所感

とにかくオカルト物が多かった。観た作品の中だけでも魔術や超能力の類が出てくる物は

と、これだけある。みんなそんなにオカルトに憧れちゃってるのか。眠っている力がある日突然目覚めたりしたらいいなぁとか思ってるのか。そりゃあ週に20本も30本もロボットアニメ作られていたような時代だってあったが、上に挙げた作品群は皆深夜放送なのだから、一応メインターゲットはそこそこの年齢層な訳だろう?これは多分「組織戦」っていうものが流行らなくなって来たんだろうなぁ、と今思いついた。。上層部との意見の衝突や兵站の確保とか仲間との連携とかそういうのが面倒臭くて(そんなのは日々の生活で嫌になる程味わっているので)フィクションの世界では”自分ひとりで状況をひっくり返す”設定に憧れるのかも知れん。魔法なら物資の補給も要らないし、残弾も気にしなくて良いから、そういう”世界 vs 一人”の構図を描きやすいんだろうなぁ。それは便利なんだけど、逆になんかこう、閉塞感の様な物が付き纏う気もするんだよな。結局”その力でしか戦えない”っていう構図になるとドラマの幅が狭くならない?って思うんだけど、どうなのよ。