そんなわけで待ちに待った「エースコンバット6」が我が家に来た訳だがキャンペーンモードを1回クリアした後の感想としては「正直微妙」である。今回の「群れなす翼の大戦場ドラマ」というコンセプトは高いレベルでまとまっている訳だが、それが俺が求めていた物かどうかはまた、別の話である。以下に良い点悪い点を上げてみようと思う。
良い点
- なんと言っても画質。
- ゲームの面白さと画質は関係ないと思っていたがカッコよさとは関係があった様で、戦闘機の質感、ミサイルの炎など、観ていて惚れ惚れする。
- オブジェクトの増加。
- 敵味方や空を覆うミサイルの数が飛躍的に増加したのもそうだが、機体が破壊された後の破片までキッチリ当たり判定があり、機関砲を当てると火花が舞うのには感心した。これまで撃墜された機体は物理演算から外されたような振る舞いをしてしまって興醒めだったのでとても嬉しい。
- リプレイのカメラワーク。
- どのアングルもブラッシュアップされ自動切換えモードで見ていても退屈しない。「PASS」モードはこれまでの「望遠で抜き」のイメージから大幅に変更され自機にグイグイ迫ってくる。
- リプレイの保存。
- 恐らく誰もが待ち望んでいたリプレイ保存機能。これで傑作フライトをいつでも振り返る事が出来る。
- 野戦滑走路への着地。
- ステージが限定されるが、帰還ラインまで戻らずに済むのは助かる。離着陸の際に敵に狙われる可能性があるというのも臨場感があって良い。これまで離着陸はステージの前後に挟まれる「おまけ」みたいな扱いだったので、戦闘に有機的に絡むこの仕様はもっと増えて欲しい。
- オンライン対応
- (後述)
気に入らない点
徒然なるままに
ドラマ部分に関してはムービー、戦闘中の物全てが「すべっている感」が強い。全体としては「エースコンバット04」をやりたかったのね、というのは感じ取れるのだが、未だ最強のエースと謳われる自機コードネーム「メビウス1」と好敵手の「黄色の13」に較べると全然ダメだ。あの自分が段々頼られていく快感、戦場の空に翻るリボンのエンブレムが敵味方の双方から注目されるようになっていく過程。全てが神がかっていた「04」に較べれば、この「6」はその過程がすっぽり抜けている。「支援要請」なんてゲージが目に見えて毎ステージ使えるような仕様にせずに、作戦の成果や助けた味方の数をこっそりカウントして行って、ここぞというステージでそれに応じた味方の数が支援してくれるようにしてくれた方が良かった。或いはステージ中に助けた戦闘機が以降僚機の様に振舞ってくれるようにするとか。コツコツ稼いだ人望と名声がある瞬間目に見える様になる、そういう演出の方が良かったと思う。「エースコンバット」はみんなから頼られる「エース」を目指すゲームなんだから、ゲージが溜まればいつでも味方に言う事を聞かせられる様なのは違うだろう。それは「指揮官」の仕事なんじゃないの。
総評
これまでのシリーズに較べて、どうもこの「6」は戦闘もストーリーも爽快感に欠ける。「04」のエース気分やドラマ部分の面白さ。「5」の立ったキャラクターやハリウッドチックな盛り上がり。「zero」の敵エースやラスボスやメビウスとの手に汗握る空戦。それらに較べてこの「6」が勝っている「圧倒的な物量」というのが俺の好みではないのだ。いや、これは俺が望んでいたものだった筈である。右を見ても左を見ても戦闘機やミサイルが飛んでいる、という光景を俺は望んでいたのだが、そいつらが揃いも揃って「面倒な連中」というのが頂けない。たった十数機の8492部隊や、たった一機のメビウスの方が余程手強く、スリリングである。結果的には彼らの方が「落とし易い」のだが、それでも彼らの方が「強い」。そう思わせるバックボーンがちゃんと確立されているのだ。
書き始めたらケチョンケチョンになってしまったが、この「6」はつまりそういう作品だったという事である。毎回色んなコンセプトを出してくる「エースコンバット」で、今回はこういう風にしましたよ、というだけの話なのだが、それでも納得が行かないのは、どのシリーズにも共通してあった「あぁ、俺って強いなぁ」という快感が、今回の「6」では(コントローラーに慣れてないせいもあるが)感じられなかった事である。どんな手段を採ろうとも、そこは絶対外せない、外してはいけない所だと制作側も認めている筈なのに、どうしてこんな事になったのだろう。偏差射撃がビシバシ決まるようになったって、それじゃあんまり強い気にはなれないと思うんだよな。
もっとも、その快感は別の場所で得られたので完全に外しているとも言えない。それがつまり「オンライン対戦」である。だいぶ長くなったので、それについてはまたの機会に書こう。