全世界で顰蹙を買い続ける主人公の伊藤誠が繰り広げるヤンデレ祭りアニメ、「School Days」最終回の放送が急遽見送りになった。この鬼畜主人公にどんな鉄槌が下るのかとワクワクしていた視聴者の目の前にどんな地獄絵図が繰り広げられたかは『ヤンデレアニメ「School Days(スクールデイズ)」最終回、テレビ神奈川で突然の番組差し替え』辺りを見ると微笑ましく概要を把握出来ると思うのだが、どうやらこの放送見送りの原因は18日に発生した「警官の父の首をおので切る…16歳二女を殺人容疑で逮捕」(2008年12月29日リンク切れ確認)に配慮してとの事だそうである。
不思議だ。これは一体どういう心の働きを想定しての配慮なのだろう。現実にあった痛ましい事件を彷彿とさせるような描写は好ましくない、という事なのだろうか。もしそうならニュースでこの事件を取り上げるのを止める方が先であろう。現場の映像や、当事者の名前を晒しているのだから、近しい者にとってはとても耐えられる物ではない。
それとも現実にこういう事件が起きた以上、そういう犯罪を助長するような描写はまずい、という事なのだろうか。これもまた随分なめられた話である。ゲームやアニメが青少年に与える影響という妄言は昔も今も根強く蔓延っているが、子供が何の影響を一番受けるかと言えば間違いなく一緒に住んでいる家族からである。十何年もの間四六時中一緒に過ごしている人間の影響が、ブラウン管や液晶越しに繰り広げられるたかが30分や2時間や60時間の映像に簡単に覆されてしまうと信じている人間は、一体どれだけ希薄な家庭環境で生きてるんだと不思議でしょうがない。お前ントコの子供に「野生の王国」見せたらアフリカに行ってシマウマを襲うようになるのか、と説教したくなる。
もしこの「School Days」がこの事件を参考にして作られたものであるならば、それは放映を見送るべきだろうとは思う。現実に起きた事件を参考にしてこの程度ならば、はっきりと放映する価値などないと言って良いだろう。しかし原作ゲームは2005年に発売され、このアニメ版の最終話だってどう考えても最短で1ヶ月位前から制作に入っているのである。最終話放映前にこの事件が起きたのだからこの事件はこの作品が放映されようがされまいが発生していたのだし、この先を心配するのであればアニメの内容の前に一緒に寝起きしている親や日中ずっと過ごしている学校の中に原因を探るべきである。
ついでに先の記事の中から気になる部分を引用しておこう。
二女は中学の卒業文集で、将来の夢として漫画家などを挙げていた。山村の連続怪死事件を描いたゲームソフトで、コミック化もされた「ひぐらしのなく頃に」に登場する少女が、おのを使用する場面があり、ネット上では事件との関連を指摘する声が上がっている。
この次女が本気で漫画家を目指していたとしても、例え「ひぐらしがなく頃に」をコンプリートしていたとしても、それとは関係なくこの事件は起きたのである。カッターナイフでも刺身包丁でも父親は殺せるのだから牽制すべきは「殺意」であって「方法」ではない。もしどうしてもそこが問題だ、そんな漫画が無ければこんな事件は起きなかったというのであれば安心して貰いたい。この記事に言う「ひぐらしのなく頃に」に登場する少女
が竜宮レナの事を指しているのであれば、その子が持ってんのは斧じゃなくて鉈なので晴れてこの事件と「ひぐらし」は無関係である。