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本当の形

作成年月日
2007年04月03日 01:26

結婚記念日にかこつけてレンタカーで武蔵村山のダイヤモンドシティ・ミューへ行き、妻子を降ろして一人立川のビックカメラへ。6階おもちゃ売り場で超合金魂の伝説巨神イデオンを買ってしまいました!どうもすいません!19,800円あったら何が買えるのか考えるとそりゃあ色々な物が買えるのですが、どうしても我慢出来ませんでした。だって皆凄い嬉しそうだったんだもん。19,800円で20年越しの夢が叶うんだよ?安くない?

何せこの「イデオン」というロボットはつい最近までまともに立体化された事が無かった。放映当初も超合金やプラモデルは一応出るには出たのだが、どれもこれもカッコ悪い事この上無く、敵の重機動メカのプラモデルは幾つも作ったが、ついぞこの主役メカには一度も手を出さなかったという位に納得行かない出来だったのだ。それもこれも、アニメ本編で整合性の取れてない変形や関節があちこちで展開していたせいである。

その頭、出入り口のシャッターよりでかくねぇ?とか、そもそもその頭と同じ場所に、さっき機首部分が引っ込んで行ったよね?とか変形前の段差が合体したら無くなってねぇ?とか、もう枚挙に暇が無いほど突っ込みどころの多い不思議変形合体だったのである。当時はそれくらい大目に見て貰えた時代だったというのもある。嘘も方便、カッコよければいいじゃない、という事なのだ。例えそのロボットのおもちゃをワクワクしながら買った子供が箱を開けて余りの似て無さにがっくり打ちひしがれたとしても、買わせてしまえばこっちのもの、という思惑があったのか無かったのか。

そういう歴史があるので「超合金魂シリーズ」でイデオンが出ると聞いた時は小躍りしながらも「けど合体するんじゃあ結局カッコ良くは作れないんじゃないのか」という不安と戦ってきたのだが、その不安はまだ色の塗られていない試作品の画像を目にした時に的中した。

肩でか過ぎ!腕太すぎ!何そのキャタピラ!膝裏長っ!羽見えてるし!

イデオンはそうじゃないんだよ。無理に完全変形、完全合体なんてやろうとしなくてもいいからさぁ。発動編のイデオンと寸分違わぬ物を作ってくれよ。そんな風に最初思いました。ええ。結局これもスルーする事になるのか、と。

けれど、その後発売日が近付くにつれて続々と公開される画像を眺めていると、なんだかだんだん「イヤ、これはちょっとカッコいいんじゃなかろうか」と思えてきた。俺が知ってるイデオンとは違うけど、これはなんだかイデオンな気がする。どうなんだろう、行けそうか?発売日を迎えあちこちのブログで俺と似たようなバカタレが2万円も出して買ってきたイデオンの写真を見るとこれ以外有り得ないような気分になって来る。っていうかイデオンだよ、これ。

家に帰って箱を開けると3機バラバラの状態で箱詰めしてある。壊さない様に慎重に組み上げると、そこには紛れもなく本物のイデオンが有ったのだ。あの不思議合体を大胆なアレンジで再現したそれは、肩の先からつま先に到るまで創る者の愛情に溢れた傑作だった。

なんだろう。アニメと違う事をしているのにまるで本当はこうだったような気がして来るのだ。フォルムと変形を両側から極力再現しようと突き詰めって行った結果に噛み合う形。イデオンはこうなってる筈なんですよ、という物凄い説得力がここにある。アニメでは動かす為に省略した部分も有りましたが、本当はこんな形で、こんな風に変形していたんです、と。

考えてみればお気に入りのキカイダーのフィギュアも俺の知っているキカイダーとはまるで似ていない。俺の知っているキカイダーは着ぐるみで、平均的な日本人体型の上にメカ内臓のヘルメットを被ってしまったが為に必然的に頭が大きく見えてしまう非常に切なさを感じるフォルムなのだが、フィギュアのキカイダーはスレンダーで人造人間に相応しいメカメカしさを持っている。これはつまりキカイダーとは本来こうなっていて、けれどそれを特撮でやる時に着ぐるみ等の制約のせいであんな体型になっていただけなんですよ、という解釈が成り立つわけだが、それと同じ事だったのだ。

少し前にやまとというメーカーから出たイデオンが、大層期待していた割にもう一つの出来だったらしく(参照:玩具とか模型とか…:やまと 1/600 伝説巨神イデオン)ザクやガンダムは掃いて捨てるほど何度も作られているのにどうして誰も「まともなイデオン」を作ってくれないのだ。2個も3個も作ってくれとは言わん。ほんの1回、ちゃんとしたのを出してくれればいいのに。そんなひがみにも似た願いを25年近く抱き続けて来たのだが、それも昨日までの話となった。明日も明後日もその先も、俺の机の上には本当のイデオンが飾ってあり、俺はそれを一日中でも眺めていられるのだ。イヤ本当に、いつまで見てても飽きないなぁ。