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こんなにも多くの消失点

作成年月日
2005年08月05日 01:48

今仕事で使っているソフトは従来からお世話になっているPhotoshopと、最近使い始めたcomic studio Proの2本。

Photoshopの方は言わずと知れたレタッチソフトだが、comic studioの方は漫画制作支援ソフトという、まさにメイドインジャパン、この国ならではの需要に応えるべく作られたソフトだ。

檜木さんに薦められて使い始めたソフトだが、当初あった違和感も大分減り、作業工程の短縮に一役買える様になった。動作が重かったり、今ひとつ「分かってない」部分があったりするのはご愛嬌だが、各機能に野心的な工夫が見え隠れしていて好感が持てる。

これまで幾度か触れた「快楽問題」と、全体と細部を同時に把握出来るアドバンテージがある為、無条件にアナログ作業に取って代われる程ではないが、限定した用途においては確かに作業が楽になった。

限定した用途というのはパースの事だ。

青年漫画では(スタイルにも拠るが)建物の中や外を描く頻度があまりにも多く、アシスタントの仕事中などは自分がやっているのは漫画の仕事なのか建築パース画の仕事なのか分からなくなる程だ。1コマの背景には2〜3個の消失点が有り、1ページで4〜9個くらい、16ページで64〜144個にもなる。原稿の中や外に1話あたり144回も画鋲を刺して定規を当ててきた訳だ。

改めて考えると凄いな。

実際は目安で済ませてしまうコマも多いので144回と言うのは「真面目にやれば」という事だが、それにしても多い。漫画の作業の中で「パースを取る」というのは、かなりのウェイトを占める作業なのだがそこを見落とさず、「パース定規」というツールを実装したセルシスの開発者は偉いと言っていいだろう。次は曲がる背景(曲線遠近法)にも対応して下さい。

新しいPhotoshop(CS2)もコピースタンプツールがパースに沿って使えるそうで楽しみだ。