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重なり合う地平(憂鬱と官能を教えた学校 第4段)

作成年月日
2006年08月28日 21:16

評論概論の部分で色々な事を考えさせられたこの本だが、実学方面の最大の収穫は”モード”に関する記述だった。世の中には”モードの壁”というのが多分あって、それはこの本の中にも

ずーっと機能和声による音楽の作り方を勉強してきて、で、突然何か、その先にあるもののように『ハイ、明日からモード』ってどこの学校もやるんで、ここで必ずわけがわからなくなるんですよ。

と書かれている。これはまさしく俺の身に起きた事だ。

和声学を終え、独学で挑んだ”モード”なる概念は相当に訳の分からない物だった。訳が分からないというか「そんなの当たり前だろう、お前何言ってるんだ」と思ってしまうようなものだったのである。それを使って何が出来るのかが分からない。なんでこんな事覚えなきゃいけないのかが分からない。どこでどう使えばいいのか分からない。使っても不思議な事なんて何も起きない。

ないないづくしで途方に暮れ、何度か教本を替えては挑戦してみるものの結果はいつも同じ、「何を言いたいのか分からん」であった。それがこの本のあるセンテンスで、ちょっと光明が射したような射してない様なもやもやっとした辺りまで見えた感じなのである。この”モード”と言う物を自分のスキルに統合する事は随分先延ばしにしてきた宿題なので、そろそろケリを着けたいと思っていたのだ。

期待が叶うかどうか分からないが、12長短調のダイアトニックスケールを弾きまくっていると、それらが12×7モードと噛みあう接点(スケールという意味ではない。勿論スケールは皆噛みあう)が見えてきそうな、パズルのピースがカチッと嵌まる瞬間が近付いて来ているような幸せな予感に包まれてくる。ここ最近色々なエポックメイキングが起きているのが、そう予感させるのかもしれない。

もう一段上に行けるんじゃねぇかな、行きたいなぁ。そう考えながら、毎日朝から晩までキーボードを弾き倒しているのである。