unlimited blue text archive

悶絶キースジャレット

作成年月日
2006年07月23日 19:17

昨夜スカパーラジオを聴いていたらキースジャレットのソロコンサートがかかって来たので、非常に懐かしい感じで聴いていた。家に家族が居なかった事も手伝って独身時代に戻ったような感覚だ。

で、そういえば昔日本のポップスで「ふたりで聴いたねキースジャ〜レット、肩を抱き〜ながら〜」という歌詞の曲があって(今調べてみたら東野純直の『君とピアノと』という歌だそうだ)その部分を耳にした時に「そりゃまたイヤなカップルだな」と思ったのだ。

この人の奏でるピアノは大変に良いものなのだが、ちょっと天才肌というか癖があって、興が乗ってくると自分の弾いてるアドリブの旋律を歌い始めるのだ。頭の中で浮かんだメロディーを手に出力する際に、無意識に口にも出力しているのだろう。

その彼の歌声がなんというか、美声と言うには程遠い感じで、目の前にピアノが置いてなかったら周りの人がそれを歌声だと判断するのは至難の技の様な感じなのだ。

そのある種発作の様な歌声を部屋で肩を抱きながら聴いているカップルという絵面を思い浮かべるとどうもピンと来ないというか、「大丈夫なのか君達」と心配になってくるのだな。他にも聴くものあるだろうに、どうして二人でキースジャレットなのだ、と。

そんな話を実家から戻った女房に話したら「そう言えば前何かのライブに連れてってくれたよね」と言われた。

「なんだっけ、あぁコートニーパインじゃないか?サックスの。」
「そうだっけ。広い店で食事しながら聴くような感じの」
「あれどこだったっけかな。青山あたりだったような……」
「あと、他にも何か連れてって貰ったよね、イロモノみたいな」
「……仙波清彦かな……パーカッションの」
「そうそう。ドラムの人目当てで何を歌うのかは知らんって言ってた。……あとは谷山浩子?」
「……谷山浩子は一緒に行ってないですよね?」
「行った。」
「行ったっけ……あぁ、そう言えば円形劇場に向かって一緒に歩いた記憶があるな……」

キースジャレットどころじゃなかった。映画に喩えると待ち合わせて劇場に連れて行かれたら「サクラ大戦 劇場版」だった、みたいな感じだろうか。

そう言えば誰かをライブに誘う時に相手の趣味を考慮した事など一度も無かったなぁ、とちょっと反省した。