久しぶりに来ました。本年度「詰め込めるだけ詰め込みました大賞」は新谷良子の「CANDY POP SWEET HEART」に決定。
歌曲のアレンジで好きなタイプの一つに「対旋律を限界まで入れる」というのがある。一般的なポップスではボーカルで1旋律、ベースで1旋律と、既に2声部使っている。和声は基本的に4声で構成されるので残るは2つ。無難にコードをバッキングしておけば安全だが、そこでも旋律を入れようとすると、ちょっと気を抜くと他の旋律のノートとぶつかったり、グルーブを損なったりしてしまう。
それぞれの声部だけを聞いても明確なメロディがあり、かつ同時に鳴らすと目まぐるしく絡み合いながらコード感が出るというのが好みなのだが、ストリングスを動かすとそれだけで平気で3〜4声使ってしまうし、ピアノやギターも相応に音符を消費する。個人的にロックよりポップスが好きなのは、この「数多くの音色と旋律を制御してぶつからないように対旋律を織り交ぜる」スリルが楽しめるケースが多いからだと思う。
で、この「CANDY POP SWEET HEART」は主旋律の進行も面白いのだが伴奏がえらい賑やかでピアノのバッキングやシンセストリングスのピチカートやエレキギターが、やり過ぎなくらいに動くのだな。それでいて主旋律の邪魔はしてない。大変良く練られたアレンジだと思う。
しかし悲しいかな、新谷良子は声優で一般人にはチラッとも認知されていないのだ。俺もスカパーのラジオチャンネルでかからなかったら永久に聞く機会が無かったかも知れない。オリコンでは50位〜60位くらいの様だが、そのアグレッシブな姿勢を讃えて、せめてウチではヘビーローテーションしてあげようと思った。