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2005FPW到着(暫定評価)

作成年月日
2006年04月24日 00:14

そんなわけでこのモニタの「AV用途」としての側面に限って評価をしようと思う。まず色合いや応答速度等の見栄えについてだが、これはもう覚悟していた通りのレベルだった。

別にこのモニタに限った話ではなく、このクラスのPC用液晶モニタをAV用途に使役させるのは端から無理があるようで、画質は同価格のブラウン管テレビにはっきりと劣る。特にソースが低解像度(テレビゲーム、地上波放送)では、その荒さを誤魔化す為の工夫がされていないと目も当てられないだろう。

S/コンポジット端子しか無いこのモニタでは、端から高解像度の入力は出来ないのだが、同じコンポジット入力でも市販のDVDを再生した時と地上波放送を映している時では見易さにかなりの差が出る。液晶モニタは「荒い画像はより荒く」「緻密な画像はそのまま」表現するようで、何でもそれなりに映ってしまうブラウン管とはその性質から違うようだ。

ソフト側の処理方式の差も関係するようで、ブラウン管で見ていた時は綺麗だと思っていた画面が、拡大されてみるとジャギーでガタガタになっているのに対し、当時はそれほどとは思わなかったソフトが、ちゃんとアンチエイリアス処理されてスムーズに見える事もあった。

また今回初めてS端子を使ってみたのだが、コンポジット接続とS端子接続では雲泥の差があった。他の再生機器でもこの位の差が生じるのかどうかは分からないが、このモニタに限っては「S端子でなければ話にならない」という感じである。現在PS2→S端子、スゴ録→コンポジットという接続状況だが、早晩S端子セレクターを買って両方ともS端子に繋ごうと考えている。

応答速度に関しては、それが理由でゲームプレイに支障が出る事は無かったが、やはり表示遅れが原因なのか激しい動きのシーンでは前の色が残るようで、画面のチラツキと相まって近くで見ていると目が疲れた。

次に問題の「アスペクト比」だが、せっかくのワイド画面であるにも関わらずまともな手段では正しい16:9の画面を再現出来ないというのは勿体無い。せめて4:3→3:2の部分が無ければ16:10の画面でも気にせずに済むかもしれないのだが、とにかくAV用途でワイド画面は使えないと覚悟した方がいいだろう。このモニタは「ワイド画面テレビ」ではなく、「WSXGA+の液晶モニタ」なのだと認識するべきだ。4:3→3:2に関しては個人的には問題なしだが、気になる人はやはり気になるだろう。4:3でも16:9でも正しい比率で表示出来ないのはなかなか痛い所である。

画作りに関してはやはりブラウン管方式よりダイナミックレンジが狭いのか暗部明部両方の階調をスムーズに表現する事は難しいようだが、非光沢パネルで表示される「黒」はまるで印刷したようなフラットさで、ブラウン管に慣れた目には非常に衝撃的だった。

視野角はさすがIPSパネルだけあって斜めからの視聴にへこたれない広さである。もっとも画面のスウィング機構自体がとてもスムーズなので、一手間を惜しまなければそうそう斜めから見る羽目になる事もないだろう。複数の人間で並んで視聴する時には心強い。

で、結局このモニタの満足度はどの位なのかというと色々書いてきた割には(檜木さんに怒られそうだが)実は大満足なのである。ワイドモードでエースコンバットをやりたかったというのは確かにあるのだが、4:3の表示面積自体が桁違いに大きくなったので、その衝撃がワイドモードを凌駕したわけだ。大きい画面と言うのは無条件で良いものである。今まで読めなかった文字が読める、目を凝らさなければ見えなかった気球を遠くから撃てる。見かけの解像度は下がったが、情報量は格段に上がった。

ここからはこのクラス(19〜20インチ程度)の液晶モニタ全般の話になるが

という人に限っては検討する価値アリである。最後の2項目は特に重要で、予算やスペースに余裕があるのなら素直にテレビを買った方が結局余分な買い物をしなくても済む。それらを含めて上の項目が多数マッチする人間であれば、液晶モニタのAV転用は有益だと思うのである。いつも必ず同じ位置から、しかも一人でテレビを観るケースが殆どの場合はTNパネルでも問題ないだろうし、そうでない場合は他のパネル方式を選択した方が無難だろう。

お金の価値は人それぞれなので一概には言えないが、8万出す気があればこの方式はお勧めしない。それなら他の選択肢を検討すべきである。得られる画質や汎用性を量りにかけて計算すると、6万円以内なら損した気分にはならないだろうなぁ、と思うのだがどうだろう。