まずはこの記事。「富野アニメのオープニングはカッコいい」。
富野監督の手がけたロボットアニメのオープニングがいかに良く出来ているかという考察だ。その内容に関しては全面的に賛成だが、それ以外にちょっと衝撃的な事実が発覚したのでここに書き記しておこうと思う。
リンク先の記事でも参照しているが、日本のロボットアニメのオープニングを時系列に並べた動画ファイルが「YouTube」というサイトにアップされている。著作権などの権利関係をまるで無視した動画も多数アップされているサイトを紹介するのも躊躇われるのだが、余りに貴重な体験が出来るので少しばかり目を瞑って戴きたい。
まずは「Robot anime history 1963-1996 (1/13)」。「鉄人28号」から「鋼鉄ジーグ」までのオープニングを収めたファイルだが、この動画を見て何に驚いたかというと、こんな黎明期の作品群でも既にスキルの差が明確に存在している事である。昔夢中になったロボットアニメを何かの機会に目にすると「こんなにカッコ悪かったっけ」と愕然とする事も多いが、ちゃんと今見てもカッコいい物もある。このファイルには
- 「鉄人28号」
- 「マジンガーZ」
- 「ゲッターロボ」
- 「グレートマジンガー」
- 「勇者ライディーン」
- 「ゲッターロボG」
- 「UFOロボ グレンダイザー」
- 「鋼鉄ジーグ」
のオープニングが収められているが、これらの制作年は最初の「鉄人28号」こそ少し離れているが「マジンガーZ」から「鋼鉄ジーグ」までの間は僅か3年である。
にも関わらず絵コンテの差は圧倒的で「マジンガーZ」や「グレートマジンガー」は記憶が美化された訳では無く、今見ても確かにカッコいいのだ。ホバーパイルダーやジェットスクランダーが合体する時のギミックをきっちりと描き、その後の戦闘シーンもちゃんと空間が取れている。
それに対して「ゲッターロボ」「ゲッターロボG」のオープニングは明らかに劣る。今見るとカットの繋がりが意味不明で空間を感じさせるレイアウトも無く、切り替わりが早過ぎて何があったのかも分からないカットも多い。不思議変形合体のインパクトが強くてつい騙されてしまうが、酷い出来である。昔のアニメは今ほど成熟しておらず、どれも似たり寄ったりの出来なのだろうと思っていたがそうではなかった。「腕の差」はこの当時からすでにはっきりと在ったのである。スキルが蓄積されて今のレベルに達したような気がしていたが、大間違いだった。今も昔も出来る人間はいきなりいい物を作っていたのだ。
その証拠と言ってはなんだがこの格差はその後も埋まらない。
- 「大空魔竜ガイキング」
- 「ゴワッパー5ゴーダム」
- 「マシーンブラスター」
- 「コンバトラーV」
- 「マグネロボ ガ・キーン」
- 「UFO戦士 ダイアポロン」
と続けて観て行っても、いけてるオープニングもあれば更に酷くなっているオープニングもある。
さらに時代を下って「ザンボット3」や「ダイターン3」が出るともうダメである。時系列に沿って連続で見続けていると富野監督の絵コンテがいかに斬新でかつ的確かという事を思い知らされる。「メカンダーロボ」「ギンガイザー」「バラタック」等と比較して見れば、とても「ザンボット3」がこれらの作品と同年に制作されたものとは思えないだろう。
ジャパニメーションだなんだと色々もてはやされている日本のアニメだが、これは別にその文化が成熟して評価されている訳ではなく、単に突出した人間が何人か居たというだけの話なんだろうか。