数えてないので正確な所は分からないが、おそらくウチで一番多いCDはジャズのCDである。しかしここ数年1枚も買っていない。好きなプレイヤーの殆どはもう死んでいる(!)ので新譜が出ないのである。他にもCD屋が無いとかライブハウスが無いとか、そもそも外に出かけたり夜遊びする事が無くなったとか色々理由が重なって、新進のプレイヤーをチェックする事も無くなった。
家族が出来てからは家でゆっくりCDを聴く時間も減り、ローテーションに困らないだけの枚数もあるので、まぁそれでも良いかと思っていた。元々そんなにストライクゾーンが広くは無いので、買うほど気に入るアルバムもそうそう無いのである。思い出してはお気に入りのアルバムを繰り返し聴く。それで良いかと思っていたのだが、それは大きな間違いだった。
今日ふと思い立って、光接続に切り替えてから面倒臭くて設定していなかったフレッツ・スクウェアにアクセスしてみたらJJAZZ.netというチャンネルが出来ていた。ライブハウスの録音やオリジナルコンテンツの配信をしているチャンネルで、独自回線を利用している分圧縮率が低めで音質も良い。(これまで回線の速度が上がるたびにインターネットラジオを楽しもうとしたのだがどれも音質が悪く、こんな音を聴く位なら無音でいた方がマシだと思わされて来た)
内容には大して期待せず、とりあえず適当なプログラムを流してみたのだが、聴いていると物凄く懐かしい感覚に捕らわれる。なんだっけ、これ……?と考えてその正体に行き当たる。久しぶりに味わうこの感覚はつまり「次のノート(音符)が分からないドキドキ」なのだ。ウチで殿堂入りを果たしているアルバムの賞味期限はそれこそ一生モノで千回以上の視聴に耐えられる筈だが、それでもこの感覚は味わえない。
どんな娯楽でもそうだと思うが、一夜限りのアドリブを楽しむジャズにおいては殊更に「この先どうなるかを知らない」という条件が甘美だという事を再確認した。今度都心に出たらCD屋に寄って久しぶりに試聴コーナーに足を向けてみようかと思うのである。